台湾について

嫌韓流」を読んでから色々検索していますと、アジアの殆どの国(中国、南北朝鮮以外)は、どこも親日であり、日本に感謝していると書かれてあり、特に台湾は、韓国に対すると同様の事をしてきて、その事に対し感謝してくれている大変親日国だとなってます。確かに親日国ではあるし、住んでいる日本人は大変居心地の良い思いをさせてもらっていると思います。もちろん、私は台湾が大好きです。ただ、台湾=親日=信頼できる仲間という単純な図式では表せない、少し強い言い方をしてしまいますが、「それほど信頼はできないんでないだろうか?」と私は思ってしまいます。この「信頼」というのは、日本を裏切るとかそういう意味では決してなく、台湾の人たちのどれくらいの人に、団結してこの台湾という国を守るんだ、と思っているかという所に疑問を持つのです。

まず、台湾の事情を、簡単にですが説明してみたいと思います。台湾は、3つの民に分けられます。

原住民・・・その名の通りです。ネイティブアメリカンの様なもので、その扱われ方も似ています。その民族は色々あるのですが、言葉をそれぞれ持っています。

内省人・・・第2次対戦前に中国本国から移民してきた人たちで、3つの民の中で一番人口の割合が高い。殆どの人がここに属しています。ちなみに、原住民は、この内省人から、迫害を受ける事になります。台湾語を言語としますが、外省人が入ってきてからは、権力が奪われてしまうので、公用語となった北京語も話しますが、発音が「台湾語なまり」です。ちなみにまっぴーの北京語もかなり台湾なまりです(笑)後、日本統治下に育った年輩の方は、日本語も話します。

外省人・・・第2次大戦後、移民してきた人は総称してこう呼ばれますが、毛沢東に破れた蒋介石と共に台湾に逃げてきた人々の事を指す場合が多いです。そして台湾を統治し、公用語を北京語とします。

外省人の出現によって、元々いた原住民や内省人の人たちは、多かれ少なかれ迫害を受けるので、「日本統治下であったころの台湾を懐かしむ人々」が多かった様です。

そして、毛沢東に破れて逃れてきた蒋介石とその部下、外省人たちは、あくまで、負けを認めず、自分たちが中国を支配しているのだ、というスタンスを押し通します。つまり、中国の正式名称は「中華民国」であり、首都は「南京」であり、たまたま、ここ「台湾省」に居ざるおえない状況ではありますが、実権はあくまで蒋介石にあると主張します。そしてそれは現在も受け継がれて来ています。ですから、台湾の辞書には「中華民国」首都は南京、人口も13億とか記されてあったりします。台湾に書物を届ける場合、「中華民国台湾省台北市・・・・・」などと書いて送ります。

ただ、実際台湾は、もはや中国にこだわってはいず、台湾国としてささっと独立したいと思っています。しかし、それを中華人民共和国の方が認めないので、では、こちらがあくまで中国だと言っている、なにやらおかしな事になっているのです。

そして、日本は、台湾と国交を結ぶつもりでいた様ですが、それを中国の方に覆してしまったため、ご存じの通り日本は台湾を国として認めていない形になっています。ですから当然台湾には日本大使館はありません。その代わりに日本交流協会という団体がその役割をしています。

台湾は経済も発展していますし、治安もいたって良いですが、とても小さい国(?)です。そしてそこに住む人たちの状況は、結構複雑です。親日と言いますが、それは、日本人がアメリカ人に憧れたり、引け目を感じたりするのと大変似ている様に思われます。そして、それはアメリカ人に対しても同様です。台湾人の多くは、日本とアメリカが大好きですが、それはなんでしょうか、国が好きというよりも、「個人である私は、日本人が好き、アメリカ人が好き」
と思っている様な感じがします。

何が言いたいかと言いますと、そういう複雑な国の事情とまた、大変小さい不安定な国である事からか、台湾人にはあまり「愛国心」の様なモノは感じられないという事です。私が知らないだけで実は違うのかもしれませんが・・

その根拠の一つは、お金持ちの多くは、子供を産む時にカナダやオーストラリアなどで生み、子供に2重国籍を取らせます。2重どころか、台湾国籍を取らせない家庭もあります。「台湾国籍なんて、いらない、あっても損するだけ」と言う人も多々います。私は、日本人ですので、台湾在住の時は、当然日本人学校に通っていましたが、中に、両親ともが台湾人であるにもかかわらず、この日本人学校に通っている子がいました。地元の大病院の子供で、わざわざ遠いところから毎日タクシーでその日本人学校に通ってくるのですね。それは、日本の教育を受けさせたいから、というよりも、「いづれ、日本に住むため」なのです。(実際すでに日本に住み、両親も帰化して日本人になったとの事)そして、その子の親戚みんな、カナダであったりオーストラリアであったり、日本であったり、アメリカだったり、海外に移住しています。日本人学校へ通う台湾人は、それほど多くはありませんでしたが、アメリカンスクールに通う台湾人はもっと多く居る様です。

なぜそうなるかと言うと、わかると思いますが「台湾」という国を信じていないのですね。いつ中国に侵略されるかわからない、だから、こんな国とっとと捨てなければ・・という発想なのだと思います。今はどうだか知りませんが、私が住んでいた時は、台湾は外貨保有国NO1と言われていました。あんな小さい国がです。台湾ドルなんて当てにならないという事です。何かあった時に即海外へ逃げられるように、という事だと思います。

台湾の人たちは、クールに現状を見ています。あまりナショナリズムは感じられません。(中にはいるのでしょうけど少なくとも私の周りにはあまりいなかった)冒頭で私が言った
「あまり信用できない」というのは、そこから来ています。自分の国を信頼できない、捨てるのを厭わない、そうせざるおえない事情があり、ある意味それは悲しい事なのですが。

昨日たまたま、友達に「中国が台湾に攻められたら日本は守るだろうか?」と聞かれた時に、なんとなく頭に浮かんだのが、引き潮のように逃げていく幸運な?お金持ちの人の図・・だったのですね。